第3回(全3回)内部監査と組織文化
~企業価値向上への内部監査部門の貢献~
健全で適切な組織文化の醸成に向けて

合同会社御園総合アドバイザリー/弁護士法人御園総合法律事務所 顧問
米国公認会計士・公認内部監査人・公認不正検査士

渡辺 樹一

目次

5.健全な組織文化とは(組織文化のベンチマーク)

適切な組織文化は、組織内での不正を防止するとともに、組織の生産性を高め、イノベーションを促進し、企業価値の向上をもたらします。これまで、組織文化・企業文化とは何かについて津々浦々述べましたが、企業経営において最も重要なことは、自社の組織文化の現状と課題の把握を行い、課題への取組みと解決を図ることです。そのためには、健全な組織文化のベンチマーキングを行い、自社にとって適切な組織文化とはどのようなものかを明確化することが出発点となります。

下図(【図表4】)は、筆者が、直近7年間に公開された不祥事事例で見られた企業文化の分析結果を基に右側に「企業価値が毀損する組織」を具体化し、それに対峙する形で左側にブルーの文字で「企業価値が向上する組織」を対比させ、企業が目指すべきであろう組織文化の一例をベンチマークとしてまとめたものです。

6.良い監査と組織文化

さて、内部監査部門にとって良い監査とはどのようなものでしょうか。内部監査部門の存在価値の高さは、一次的には、経営者と被監査部門の評価によって決まります。経営者は、「内部監査部門が、企業目標を達成するための適切な組織運営が実施されているかについて被監査部門を監査し、かつ必要な場合には被監査部門に対して適切な改善提案を行うことを望み(それが「経営者にとっての良い内部監査」です。)、また、被監査部門が、内部監査部門が提案した改善案に真摯に向き合い、適切な対応を行うことを望んでいます。

被監査部門に適切な対応を行ってもらうためには、内部監査部門は、今度は、「被監査部門にとっての良い監査」を行う必要が出てきます。監査結果について被監査部門より心からの共感を得られる、また、被監査部門に自発的な改善意欲をもたらす監査を行う必要があるわけです。良い内部監査人は、そのために、被監査部門に敬意をもって接し、事実でものを言い、正論で追い詰めず、積極的に傾聴し、信頼できるカウンセラーやコンサルタントとして振る舞うものであると言われています。ここで大切なことは、不適合を引き起こし得る、あるいは不適合の背景となっている組織文化についての被監査部門の声なき声を拾い上げ、重要な事項については、経営者へ報告することであると考えます。

4.(5)で触れましたが、不適合や不正の発生は組織風土に起因することが多いです。上司からの保身のための指示、ローテーションのない職場、収益性や効率性の重視、業務の属人化、ブラックボックス化、見直しが行われないルールや規程、製造と製品保証部の一体化、検査値の書き換えが可能なシステム、予算がないが故の老朽設備の放置など、可視化されにくい実態が存在している、それらが不適合の原因となっている場合もあるのです。内部監査を実施する際、被監査部門とのコミュニケーションを深め、その組織の風土を十分に理解し、実態を把握しながら監査を実施し、不適合を繰り返さないための、また放置しておくと不正を発生させかねない組織風土があるのであれば、それを経営者に報告することはとても大切なことではないでしょうか。内部監査部門は、定まった監査方式に安住することなく、「良い監査」を目指して常に革新してゆく気概が必要だと思います。

7.組織文化への直接的アプローチ、組織文化調査

 内部監査部門の役割と責任についてですが、昨今の内部監査部門のレポーティングラインに関する進化的議論や企業の一般的な実態を見るに、「内部監査は、組織体のリスクマネジメント活動の有効性を評価するための監査業務を通じて、経営者の業務執行を支援するとともに、取締役会、監査役(監査委員会)による経営者の監督に貢献する役割と責任がある」といえる状況にあります。本年6月11日付けで改訂されたコーポレートガバナンスコードの【原則4-3.取締役会の役割・責務(3)】の補充原則4-3④においても、「内部統制や先を見越した全社的リスク管理体制の整備は、適切なコンプライアンスの確保とリスクテイクの裏付けとなり得るものであり、取締役会はグループ全体を含めたこれらの体制を適切に構築し、内部監査部門を活用しつつ、その運用状況を監督すべきである。」との改訂が行われており、全社的リスク管理に関する「内部監査部門の活用」が強調されています。 

本稿の冒頭の1(1)で述べました通り、コーポレートガバナンスコードの基本原則2の後段では、「取締役会・経営陣は、ステークホルダーの権利・立場や健全な事業活動倫理を尊重する企業文化・風土の醸成に向けてリーダーシップを発揮すべきである。」旨の記述があるわけですから、内部監査部門は、社会や事業環境の変化を加味した「自社が求めるべき企業文化」と自社の役職員の実際の行動文化との間のギャップを常に注視し、組織の経営に対して啓発することを通じて、その役割を果たしてゆくべきだと思います。(【図表5】)

そこで考えられるのが、組織文化への直接的アプローチです。自社の組織文化の現状と課題の把握は、課題への取組と解決を可能にするものですが、最も効果的な方法は、ベンチマークにより明らかにした『「会社が期待する組織文化」を反映した役職員の価値観・行動文化』と『自社の役職員が実際に保持している価値観や行動文化』のギャップを測定、把握し、ギャップが大きい事項については、その理由を明らかにするとともに解決方法に繋がる情報を役職員から集めることであると考えます。私は、これを「組織文化調査」と呼んでいます。

8.組織文化調査の手法と適切な組織文化の醸成

(1)組織文化調査の手法

 それでは、どのような手法で組織文化調査を行うのが良いのか、以下の手順が適切であると考えられます。

① アンケートによる意識調査は、無記名式とし、匿名性を確保するが、回答者が所属する組織(会社と部署)や職位がわかるようにし、それにより組織毎、職位毎の意識の違いが分かるようにする。

② 調査を効果的にするために、経営者の確固たるスポンサーシップを得て、正直に回答しても大丈夫だという安心感を役職員に与え、「調査結果は役職員にフィードバックすること」、「明瞭で客観的な方法で経営者や取締役会、監査役会(監査等委員)に結果を報告すること」を予め役職員に伝える。また、報告した問題は正式に検討されて適切な措置が講じられると役職員に思えるようにする。

③ 自社が期待する組織の在り方をできる限り具体的に記述したうえで、それに対する現在の状況を問う形式を取り、組織開発のための有用度の高い質問に限定したうえで、回答のための判断が難しい漠然とした質問や抽象的な質問は行わない。

④ 役員間のコミュニケーションの良否そのものが組織文化の一部を形成し、イノベーティブな組織風土や部門間シナジーに与える影響度も高いため、執行役員を対象とした相応の質問も可能であれば(経営者のコンセンサスを得て)組み入れる。(※7

⑤ 質問に対する評価は5段階評価とし、自由記入欄を設け、特に評価の低い項目にいては、「なぜそう思うのか」、「どうすれば良いと考えられるか」等についての役職員の意見を引き出す。

これらのうち、最も重要な項目は太字で下線を引いた⑤です。

組織文化を評価するにはどのような指標に注視し、どのように測ればよいのかなど現実的に難しい面がありますが、組織文化を測る適切な質問群を設定することができれば、組織毎の定量的な評価(組織文化の現状の見える化)が可能となるからです。(※8

従業員満足度調査(エンゲージメントサーベイ)では、一般的には、満足度の低い事項の原因や課題、施策に関する意見は、従業員には求めませんし、コンプライアンス意識調査においても、一般的には、課題の原因や施策に関する意見は、従業員には求めません。組織風土調査では、評価の低い項目については、原因や課題、あるべき施策等に関する意見を、従業員に求め、従業員参加型の調査として次のステップ(施策の立案)に繋げるというところが大きく異なります。

ここで、組織文化調査は企業グループ内のどの組織体まで行うのかを決定する必要が出てまいりますが、組織文化調査を国内子会社や海外子会社まで拡げるかどうかについては、企業グループ全体のシナジーの重要性によるものと思います。昨年の6月に経産省から「グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針」が公表されたことをご存じの方は多いことと思いますが、そこでの論点の一つが、グループ全体のシナジー創出です。親会社は、親会社、子会社それぞれの役割と責任を明確化した上で、グループ会社への経営の問題提起と経営指導・支援を通じて、各社戦略目標の達成と各社間のシナジーによるグループ全体の価値向上の達成を目指すべきとされております。(※9) 連結決算に占める子会社の売上に重要性がある、連単倍率の絶対値が高い、あるいはM&A後にPMIが進まない子会社があるなど、グループシナジーへの創出に重要性や緊急性がある場合は、重要な子会社を組織文化調査の対象に含めるという考え方はあると思います。

組織文化調査の質問票の内容については、企業の業容や規模、目標とする企業文化や風土、それらに影響を与える企業の成り立ちや株主構成等により異なるものと思いますが、上述の【図表4】に記載したような組織文化を目標とする企業についての一例を下記の通り二つの図(【図表6】、【図表7】)としてまとめましたのでご参考として下さい。但し、下図は、組織文化の一部を問う質問票であり、実際には、自社の状況に合わせて、前述の2(組織文化に影響を与える要素)や3(組織文化に影響を与える組織の閉鎖性の弊害)、4(組織文化に内包されている事象や情報)を吸い上げるような網羅性のある質問票を作成することが大切です。

次に、ヒアリングの必要性について考えてみたいと思います。質問票への回答結果の情報を分析後、改善策を練ることに資するために、もしも更に詳細な調査が必要であると判断した項目がある場合に、役職員に調査の分析結果をフィードバックする際に、ヒアリングに応じてくれる役職員を募り、ヒアリングを実施することが考えられます。

但し、これはあくまでオプションであり、【図表7】で「評価の低い項目について、「なぜそう思うのか」、「どうすれば良いと考えられるか」等「についての役職員の意見(上述8の⑤をご参照)を入手しているのであれば、必ずしも必要なく、質問票の分析結果を基とした、「改善策を導くための、社内での(適切な役職者を集めての)議論」に繋げることができると考えます。(※10

(2)適切な組織文化の醸成

さて、組織文化調査の結果得られた定量、定性的な情報をどのように活用し、自社の適切な組織文化の醸成に繋げてゆけばよいのでしょうか。

(i) 適切な組織文化醸成までのプロセス

組織文化調査を行う前の段階を含め、次のような手順となるものと思います。

① 組織文化調査を行うことについての経営者の承認、スポンサーシップの取得

(目標とする組織文化の内容(質問票として例示した【図表6】をご参照)、調査対象とする組織体をどこまで拡げるか、基本スケジュール等についての経営者の承認を取得しますが、明示的、黙示的を問わず、経営者のスポンサーシップのもとに実施することについての了承も取得します。)

② 組織文化調査の実施(質問票の配布と回収)

③ 組織文化調査の結果のまとめと経営トップへの報告

(経営トップへ報告する前に調査結果の精度を高めるための役職者へヒアリング(上述)を行う場合は、「役職員へのフィードバックとヒアリングの実施」というプロセスが事前に発生します。なお、トップへの報告へは、内部監査部門の予備的な改善提案の案を含めることも考えらえます。)

④ 経営者による組織文化改革方針の決定

(組織文化改革の対象とする組織体や適切な組織文化醸成への方向付けについて経営者のコンセンサスを取得します。)

⑤ 経営者の組織文化改革方針に基づく、組織文化改革案の策定

(内部監査部門、人事部門、法務部門、事業部門の長など、社内での適切なレベルの役職者が集まり議論を行い、改善策の案を策定します。)

⑥ 上記の組織文化改革案を経営会議等に上程

(経営会議等で決定後に取締役会へ報告します。)

⑦ 組織文化改革案の役職員へのフィードバック

⑧ 適切な組織文化の形成についての役員、管理者、社員研修の実施

⑨ 組織文化改革案に基づいた適切な組織文化の醸成

⑩ 一年後等の組織文化調査の再実施、経年評価と取締役会への報告

⑪ PDCAの実施

なお、コーポレートガバナンスコードの補充原則2-2①では、「取締役会は、行動準則が広く実践されているか否かについて、定期的にレビューを行うべきである。その際には、実質的に行動準則の趣旨・精神を尊重する企業文化・風土が存在するか否かに重点を置くべきであり、形式的な遵守確認に終始すべきではない。」としており、「上記の⑩の「組織文化の経年評価と取締役会への報告」は、このコードに沿ったものであるということができます。

(ii) 適切な組織文化の醸成に向けた施策(例)

適切な組織文化の醸成に向けた具体的な施策については、組織文化調査の分析結果や企業の業容等によって変わってくるわけですが、例えば、「組織の閉鎖性の弊害」の克服策や「風通しの良い組織風土創りへの施策として、以下(【図表8】に例示いたしましたのでご参考としてください。 これらのうちの最下段に挙げた人事考課制度の見直しですが、人事考課は、「経営者が組織に求める価値観を役職員に示す手段」となるものです。組織の閉鎖性の弊害を意識した人事考課制度は一つの盲点ともいうべき施策であり、役職員の共創マインドや、役職員によって創り出される共創プロセスを高く評価するような人事考課制度は、人材戦略の重要性が増す中(本稿1(1)をご参照)、今後、その必要性が高まってゆくものと思います。

なお、図に記載はありませんが、「トップや経営陣の思いを直接伝え、社員の参画意識とモチベーション向上を図ることにより社全体のベクトルを合わせる」ことを目的に、フォアフロントミーティング(経営陣と現場社員の懇談会)やダイレクトトーク(社長と従業員の対話)、タウンホールミーティング(経営陣と従業員との対話集会)」などが行われます。これらは、経営と現場の乖離の解消や風通しのよい職場風土創りの施策ともなるでしょう。

(iii) 全社共通、数値目標達成へのプレッシャーの掛け方の適正化

前述の通り、数値目標達成への合理的なプレッシャーは、従業員のアカウンタビリティを醸成します。アカウンタビリティとは「現状を打破し、求める成果を達成するまで、自分が問題の当事者であると考え、自分の意思で、主体的に行動しようとする意識」、即ち、「自分の意思で、現実を見つめ、問題に当事者として取り組み、解決策を見出し、その解決策を実行しようとする意識」ですから、これを組織体の隅々にまで根付かせることは、経営者が最も望んでいるものだと思います。

一方、数値目標達成への過度な(実現性のない不合理な)プレッシャーは、従業員のアカウンタビリティーを喪失させ、経営理念や行動指針に反する従業員の行為を誘発させます。

では、目標達成へのプレッシャーはどのようにかけるべきなのでしょうか。以下のような結論となるものと思います。

①「目標の妥当性の確保」

 「利益なくして経営なし」はその通りなのですが、目標を設定する際、人員や設備、技術上の能力、市場規模や営業力等の面から妥当性のある数値目標を、事業部門のコンセンサスのもとに設定することが肝要です。これは、現場に対して、健全で合理的なプレッシャー、説明責任と達成感を与え、また、現場での不正の正当化を排除します。

②「目標管理の実施」

「目標管理」は、設定した目標の達成の度合いの予実分析、管理を行うことですが、改善活動を促すものですから、利益の増加、即ち企業価値の向上に繋がりますし、また、問題発見時に必要な対応策を講じることに繋がりますからまさに経営改善の手法です。なお、目標管理については、数値目標だけではなく、具体的な重点施策として計画された事項について定性面からも進捗管理を行うことが肝要です。例えば、人材育成や製品開発などの効果は当該年度だけではなく、次年度以降の中長期に効果が出てくるからです。

以上、数値目標達成へのプレッシャーの掛け方を合理的に行うことは、全ての企業とって組織文化形成上の重要な施策となります。(※11

9.最後に

組織文化は企業価値の原動力であり、健全な組織文化が定着すれば企業戦略は容易に浸透します。

持続的な成長と中長期的な企業価値向上を目指す経営者は、その源となる組織文化を、意図する方法に変えてゆくための舵取りを行う役割を担っているわけですから、内部監査部門が、企業全体及び各組織における行動文化の実態を把握し、問題が存在する場合にその原因を含めて経営者に報告することには大きな意義があります。

今ほど内部監査部門が、企業の組織に存在し得る隠れた問題を発見してそれらに対する解決策を求め、よりイノベーティブで生産性の高い企業文化・組織文化の醸成に寄与すべき時はありません。


※7)既述の「組織の閉鎖性」に関する風土・文化へ最も影響を与える者は、上級管理者であること、そして従業員の行動文化に直接影響を及ぼす「数値目標達成のプレッシャー」を掛ける責務を負っている者もまた、上級管理者であることから、役員を組織文化の調査対象者とすることが強く薦められる。そのためにも組織文化調査には、経営トップのスポンサーシップが不可欠である。

※8)意識調査結果の定量化(見える化)については、従業員満足度調査(エンゲージメントサーベイ)もコンプライアンス意識調査でも行われている。また、経年評価を行うという意義についても、従業員満足度調査は「従業員満足度の変化や向上のための施策の浸透等の把握」を、また、コンプライアンス意識調査は「コンプライアンス教育や施策の浸透等の把握」を、そして、組織風土調査は、「組織文化・風土の醸成・定着のための施策の浸透等の把握」というように目的の違いはあるものの意義は同じである。但し、本稿本文にある通り、従業員満足度調査やコンプライアンス意識調査では、通常、従業員がなぜそう思うのかについての調査はなく、企業が行うべき施策について、現場の意見は求めないという指向が見られ、各項目について会社の目指すところの伝達や、調査結果を踏まえた施策についての従業員へのフィードバックを行っている企業は少なく、意識調査を行い、その結果について人事部門や法務部門等の各担当部署が、経年変化を含めて経営陣や取締役会に報告するということが目的化していることが多い。

※9) グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針https://www.meti.go.jp/press/2019/06/20190628003/20190628003.html(2019年6月28日策定/経産省)P24には、「グループ経営においては、各法人・事業部門の総和を超える企業価値を実現するため、シナジー(グループ全体の相乗効果)の最大化を図るべきであり、各社における財務的シナジーと事業的シナジーの最適な組合せを明確にしたうえで、その方針に応じたグループ設計やガバナンスの在り方が検討されるべきである。」との記述がある。

※10)筆者は、同様の手法で、質問票を用いた「取締役会の実効性評価」をコンサルティング業務として行ってきたが、回答者の真摯な協力が得られる環境下においては、ヒアリングの必要性を感じたことはなく、評価の低かった項目についての改善策策定のための取締役会での議論に結び付けてきた。なお、その前提として、質問の質が高い(明瞭で回答することに対してストレスを与えない質問とすること)ことが要求される。

※11)数値目標達成へのプレッシャーの掛け方に関するこれらの施策は、実は、コーポレートガバナンスコードによってサポートされている。コードの補充原則4-1②は、「 取締役会・経営陣幹部は、中期経営計画も株主に対するコミットメントの一つであるとの認識に立ち、その実現に向けて最善の努力を行うべきである。仮に、中期経営計画が目標未達に終わった場合には、その原因や自社が行った対応の内容を十分に分析し、株主に説明を行うとともに、その分析を次期以降の計画に反映させるべきである。とあり、これは、数値目標の妥当性確保は、そもそもコーポレートガバナンスコードで取締役会の責務として求められているということと同義であると考えられる。更には、役員報酬における業績評価で、計画の達成度等を報酬に関連させている企業においては、その報酬の適切性を監視するも取締役会の役割である点からしても、①の「目標の妥当性の確保」は取締役会にとって当然の所作と言える。


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