「重箱の隅」と呼ばれてしまう発見事項への対策

目次

重箱の隅の代表例

監査のレポーティングラインや監査対象部門に発見事項を提示した際に「これは重箱の隅をつつくようなものではないか」と低い評価を受けてしまうケースがあります。

このような評価はなぜ起こるのでしょうか。

一般的には、次のような理由によるものが多く挙げられます。

  1. 誤字・脱字を指摘した
  2. 押印漏れやサイン漏れなど、承認の記録が残っていなかったため指摘した
  3. ルールで作成するよう定めている議事録が未作成だったため指摘した
  4. 監査目的と発見事項が大幅に乖離している(例:M&Aの監査で、USBメモリの台帳記載漏れを報告するなど)

共通する原因

これらに共通する原因として、次の点が挙げられます。

「ルールには違反しているものの、実質的なリスク少ない」

日常生活で言い換えると、誰もいない田舎の見通しの良い交差点で、一時停止の標識があったが停止せずに進んだところ、隠れていたパトカーに捕まったというイメージです。

これは明らかな違反行為なのであってはならないと思いますが、捕まって罰金を受けたらどのように感じるでしょうか。

私なら「こんなところで意味のないことをやっていないで、もっと重要な犯罪に時間を使ってよ」と思います。

必要な対策

発見事項の価値を高めるためには以下のポイントが重要です。

①実質的に残存するリスクの大きさを測ること

発見事項があった場合、単にルール違反であるということで片付けずけないことが重要です。

実質的に残存するリスクの大きさを測り、発見事項とともに報告することで、重要度を一緒に伝達することができます。

②無理に発見事項を出さないこと

内部監査人には、「重大なルール違反を発見しなければ監査を行った意味がない」「発見事項の一つも出せないようでは仕事をしたとは言えないのではないか」というプレッシャーがかかる時があります。

これは、特に内部監査に従事して間もない方や、営業部門等で実績を上げてきた方にによく見られる傾向です。

残存リスクの小さいにも関わらず、無理に発見事項を出すことは、被監査部門から内部監査の信頼関係を大きく毀損します。

残存リスクが低いにも関わらず無理に発見事項を出すことをしてはいけません。

③コントロールの有効性を評価して報告すること

内部監査では、監査対象のリスクを洗い出し、重要なリスクに対してコントロールがどのぐらい有効に効いているかを客観的に評価することが重要です。

これを行えば、たとえ発見事項がなかったとしても、経営者に対して「社長、今回の監査対象を監査しましたが、〇〇業務については、当社は重要なリスクを十分に低減しており、適切にマネジメントしています。ご安心ください。」という経営者から見て価値のある報告を行うことができます。

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