IIA国際基準の考察(基準1300/1310/1311 – 品質のアシュアランスと改善のプログラム)

本稿では、IIAの内部監査の専門職的実施の国際基準(以下、IIA国際基準)の考察を行っています。IIA国際基準は、アシュアランス業務とコンサルティング業務の両方を対象としていますが、本稿では主にアシュアランス業務を中心に考察を行っています。

基準1300の概要

基準1300は、内部監査の品質のアシュアランスと改善プログラム(以下、QAIP)について定めています。

基準1300 – 品質のアシュアランスと改善のプログラム
内部監査部門長は、内部監査部門を取り巻くすべての要素を網羅する、品質のアシュアランスと改善のプログラムを作成し維持しなければならない。

QAIPは、内部監査部門長が自らの組織の内部監査がIIAの基準と倫理綱要に適合してしてること、そしてその結果としてIIAの内部監査の定義や基本原則に適合していることを評価するものです。改善の機会があれば評価結果をもとに内部監査の体制やプロセスについて改善を行います。

品質評価はなぜ重要か

内部監査は、3つのディフェンスラインモデル(3ラインディフェンス、三線モデル)における第三線に位置づけられます。第一線と第二線は、第三線からその有効性を評価されることで継続的に改善の機会を得ます。その一方で、第三線である内部監査は、当局による検査や会計監査などを通じて不定期に品質を見られる以外は、そうした機会を得ることがありません。そのため、一義的には自ら品質評価を行い、継続的に改善をしていく必要が求められています。

基準1310 – QAIPの要件

基準1310は、QAIPの要件 について定めており、内部評価と外部評価の両方を含めなければならないとしています。内部評価とは、内部監査部門が自ら行う品質評価を指します。外部評価とは、内部監査部門ではない、一般的には監査法人等の外部の専門家による品質評価を指しています。

1311 – 内部評価

基準1311は、内部評価について定めています。内部評価は、継続的モニタリングと定期的自己評価の二つから構成されます。

継続的モニタリング

継続的モニタリングとは、個別監査の品質を自らモニタリングすることです。目的は、基準と倫理綱要への適合性を評価することであり、日常の管理に組み込んで一年を通じて実施します。具体的には、例えば、内部監査のマニュアルなどにモニタリングの方法を示したうえで、個別監査ごとにチェックリストなどを作成・運用することで実現します。チェックリストの観点としては、次のようなものが一般的です。

・個別監査の計画内容がレビューされているか
・個別監査が内部監査マニュアル等に則り内部監査が行われているか
・個別監査の監査手続の内容が承認されているか
・個別監査の報告内容がレビューされているか
・個別監査の実施プロセスにおいて改善すべき課題がないか

出所:内部監査.info

定期的自己評価

定期的評価とは、自らの内部監査部門が、IIAの倫理綱要と基準に適合しているかを自己評価することです。目的は、基準と倫理綱要への適合性を評価することであり、一年に一度、多くの場合、第4四半期に実施します。具体的には、例えば、IIAの倫理綱要と基準を列挙したワークシートを作成し、それぞれについて適合状況を評価(GC/PC/DNC*)します。ベストプラクティスは、公認内部監査人(CIA)の保有者が品質評価の専担者として評価することです。

*GC:一般的に適合している、PC:部分的に適合している、DNC:適合していない

品質評価マニュアル

品質評価の実施方法については、IIAが品質評価マニュアルを販売しており、その内容を参考に実施することが実務上、多く見受けられます。

http://www.iiajapan.com/data/list/bk10122.html

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